2012年5月4日金曜日

ダウンロード違法化のインパクト

著作権に関連して、違法にダウンロード可能になっているデータのダウンロードを違法化するとか、児童ポルノに関連してそういうデータの単純所持を違法にするとかいう話がずっと聞こえてくる。

そういうやり方に利点がないとは言わないけど、もしそれらの違法化が手放しによいと思うなら、ちょっと考えてほしいなぁと。

ダウンロード違法化(単純所持でも取得はするんでまとめてこう呼ぶことにする)という考えは、あるデータをダウンロードする時に、そのデータのダウンロードが違法かどうかを人間が判断できることを前提にしている。ダウンロード時に、ああこのデータは違法に公開された(ようだ)、だからダウンロードしてはいけない、と判断できるってこと。

さらにこれは、その判断を実際に人間がしなければならないということも意味する。違法なダウンロードをしないために。

とすると、自分が持つコンピュータにネットから取得できるデータ量は、自分という人間の判断の速度によって制限されてしまいます。

何が言いたいか。ダウンロード違法化は、ネットからデータを自動的に取得する技術を事実上違法化してしまうってことです。(意図がなければ免責とかなっても、意図がないことを証明しなければならない。犯罪かどうかが、意図にかかってきてしまう。)

ネットからの自動取得ができなければ、ネット上に大量にあるニュースを自動的に取得し処理して自分用にカスタマイズするとかできないし、そのほか画像でも音声でも動画でもなんでも、自分の役に立つ大量のデータがネット上にあっても、それを自動的にコンピュータに取得させるわけにはいかない。そのダウンロードが違法かどうか、自分がちゃんとチェックしないといけない。

これが日本の情報技術の進歩にどういう影響を与えるか。特に、他国との競争に関して。自動キュレーションとか、これから絶対必要になると思うんだけどな。

つまり、ダウンロード違法化も情報単純所持違法化も、「情報は人間が手で取得する」という前提に基づいてるってわけです。この前提は、必ず時代遅れになる。すなわち、日本の技術は時代遅れになる。間違いなく。

検索エンジンとかP2Pに関連してすでに問題になってたんだけど、あまり気にされてないみたいだし、ちょっと思い出したんで書いてみました。