ここ数年、睡眠時無呼吸に悩まされていた(と自分で気づいてなかった)けど、それを自己チェックして、ひと月くらいで症状を改善できた、という話。
睡眠時無呼吸かどうか?という紆余曲折
自分の症状としてはこんな感じ。
- 早く目が覚めてしまう(午前3時とか)
- 睡眠時間を十分とっても、起きた時によく寝た気がしない
- 起きている間、ずっと徹夜明けのように頭が重い
- 頭が動かない
- おかげでイライラするし、やる気が出ない
- 夕方、仕事中に強烈な睡魔が襲ってくる
おかしいと思って医者にかかり始めたのが3、4年前のこと。
まず睡眠時無呼吸を疑い、大きめの病院にかかった。簡易型睡眠モニターを使った自宅での測定のあと、検査入院で終夜睡眠ポリグラフ。結果は、多少は無呼吸があるが、CPAPするほどではない、と言われた。かかったお金は3万円くらいか。
眠りが浅いためかとメラトニンサプリを試す。たしかにふわっと眠くなるけど、もともと寝付きはよかったのでその効果には意味なく、症状の方にも改善が見られず。
次に(引っ越したので)別の病院の不眠外来的なところにかかる。問診のみでストレスが原因ではないかと診断されて、抗鬱剤と睡眠薬みたいなものを処方されたが、あまりにもいい加減な診察だったので信用しないことにした。
心療内科で相談する。鬱の症状だろうということになり、1年間抗鬱剤を投薬。朝早く起きてしまうことはなくなったが、他の症状に改善は見られず。1年で7, 8万はかかったのかな。
運動不足で眠りの質が悪いのかと、週3回10kmずつ走ってみるが、毎日ヘトヘトになるだけ。意図せず四十肩が治るというご利益はあったが、命削ってたかも…
頭が動かない原因はセロトニン不足だろうかと、トリプトファンサプリなどを試すが変化なし。
男性更年期障害を疑って血液検査(数千円)をしても、問題なし。
で、やっぱり睡眠時無呼吸じゃないの?と疑って、自己チェックをした。
ICレコーダーを使った自己チェック
語学学習用に持っていたVoice-TrekというICレコーダーで、寝息を録音した。メモリ容量も、電池の持ちも、一晩くらいは余裕。私のは昔に買ったから1GBでも高かったけど、今は3000円も出せば2GBのとか買えるみたい。
早聴き機能(さすが会議用・語学向けならでは、ですな)の倍速再生なら3時間くらいで聴けるから午後の仕事中にでもイヤホンで流しとけば確認できるし、音声編集ソフト(*1)で波形表示すればこの通り↓
これ↑は症状がひどいときの波形。一部拡大すると:
線を引いたのは、完全に無呼吸あるいはほとんど息ができてない部分。2分近くまともに息をしてないところもある。後半は、息ができず、いびきと呼ぶには恐ろしい音が出ているところ。波形を見てるだけで苦しくなる…
ここの基準で、中等症から重症くらいか。
(*1)
Audacity というフリーソフトを使った。
ということで、自己診断で睡眠時無呼吸と判定した。検査入院で症状が出なかったのは、センサーが体にたくさんついてるとか、緊張したとかで、いつもと同じ睡眠にならなかったせいだろうと思ってる。
ICレコーダーで一晩録音して翌日でもう自己診断ができたって、医者とかサプリに費やした時間とお金がバカバカしかったな…
マウスピースAveoTSDを使ってみる
症状改善に横向き寝が効くのはすぐに気づいたが、寝返りうって仰向けになると症状が出てしまう。ネットでいろいろ調べていたら見つけたのがこのマウスピース。パッケージ内左の無色透明なのが本体。右の青いのはケースです。
いびき防止用具として以前は日本でも通販で買えたみたいだけど、今は買えるところが見つからない。
日本の代理店が「当商品は病院・歯科医院でお求めください」と言ってるので、医療用具として規制がかかった感じ。
そこで
eBayから買った→
eBay: AveoTSD。
Remedy Hut という店を使ってみた。所在地がアメリカだし、評価がよくて信用できそうだったから。本体が(現時点で)100ドル弱、送料が15ドルくらい。注文から約1週間で届いた。マウスピースに1万円は高いような気もするけど、医療用グレードのシリコンを使っていて、効果が臨床的に認められてて(
http://www.aveotsd.com/clinical-trials.php)、各国で医療用具として承認されているそうだから、まあそのくらいしてもいいのかな。ずっと口に入れておくから材料が怪しいと恐いし。
原理とか使い方については
本家に情報があるので、興味あれば見て下さい。
さて、これをつけた初日、仰向けで寝た波形がこれ↓
通して聴いても無呼吸のところが全くない。2時間台を拡大すると、
これは規則的な寝息。最後の大きな振幅は、深呼吸と寝返り。4時間半以降の大きな振幅も寝返りの音。
ということで、私には驚くほどの効果があった。まあ人によって違うだろうとは思う。マウスピースの謳い文句には、軽度〜中程度の睡眠時無呼吸(舌根が喉に落ちて閉塞するタイプの症状)に効果あるようなことが書いてある。重度だとCPAPのお世話になる必要があるのかな。けっこう苦しいらしいけど…
症状の改善
すぐに感じたのは、夕方の眠気がなくなったこと。以前は、また今日も睡魔が来た!って戦っていたのが、仕事して気づかないうちに夕飯の時間になってる。
頭の重さは取れないかぁ…と思っていたら、これはひと月くらいかけて徐々になくなってきた。今、AveoTSDを使い始めてふた月くらい。頭が動かない自分にイラつくようなことは全くなくなった。最初に挙げた症状は、もうほとんどないと言っていい。あとは、十分眠った後の「あー、よく寝た!」というスッキリ感が戻れば完璧、ってとこか。
根治に向けて
マウスピースはあくまで対症療法。自分が調べた限り、確立された根治法は今のところなさそう。歯ブラシを使った舌の運動をするといいという論文が出たり、舌を突き出したりする運動がいいとかいう話はある。
Tongue Exercises For Sleep Apnea
自分、仕事しながら、気づいた時に舌を前に突き出したりしてる。効果はまだ不明。
でも、睡眠時無呼吸が健康に害を及ぼすなら、本来的にそういう構造を持った個体は進化の過程で淘汰されているはずだから、いま多くの人が睡眠時無呼吸に悩んでいるなら、きっといわゆる現代病じゃないかな。肥満とか、舌の運動不足とか。だから、運動が効くという話には説得力を感じる。もしかして「舌根の肥満」かも?
まとめ
- 自分で鬱だと思ってても睡眠時無呼吸の可能性がある
- ICレコーダーを使った睡眠時無呼吸の簡単なチェック方法
- AveoTSDはとても効いた。CPAPの前に(あるいは、代わりに)試す価値はあるかも
AveoTSDの使用感については、気が向いたらレビューを書くかも知れません。