2012年3月4日日曜日

蛇足:Gumroad と規制とイノベーションについて

アクセス解析の話だけでなく、ちょっと内容についても書いておこうかな…またも「なぜ Gumroad や PayPal が日本から現れないのか」の話ですが。

あの本文だけを読んだ人には、是非コメントでのやり取りも読んでほしいと思っています。Gumroad は資金移動業なのか、それとも販売のサイトなのか、グレーなのか、販売のサイトなら通信販売に関する規制にかからないのか、など。

あとこのページ↓も参考になりそう:
企業法務マンサバイバル|Gumroadの利用規約をリバースエンジニアリングしてみる

で、コメントのやりとりなどでいろいろ教えてもらったり、考えたりして、今んとこ思ってることを簡単に書いておこうと思います。

Gumroad がなぜ話題になったのか。もし Gumroad がデータ販売サイトなら、それは画期的でも何でもない。Gumroad がサービスとして画期的と見なされているとすれば、それは利用者から見た簡単さのためなんだろうけど、仕組みとしては、販売機能を最小化しほぼ決済機能のみを提供するところだと思う。それが簡単さにつながっているように思います。

それを日本の法律側から見ると、限りなく資金決済業に近い販売業になり、それがきっと私の目には資金移動業に見えたんだろうと思ってます。だから、うん、グレーだよなと。

いま Gumroad は日本で合法かと言う話が他でも聞こえます。資金決済的に合法か? 販売なら資金決済法の対象外だが、ならば特定商取引法に照らして合法か? 日本ではどうも、業務の形態によって、それを規制する法律をひとつ作るという考え方のようです。この考え方で法律を作れば、法律が想定している業務に近いけど異なった形態であるようなイノベーションは―それが有効かつ安全であっても―違法になるか、脱法になるかでしょう。

そして、我々はその考え方に慣らされていないかな。新しい業態はそれに対応する法律で規制すべきだと。

規制が不要とは言ってません。だけど、業態を決定してしまうような法律は、原理的にイノベーションを阻害する。違うかな。

あと、私は「日本ではイノベーションは起きない」とは言ってないのです。どうも誤解されてるみたいだけど(苦笑)。私が書いたのは、「日本では預金と為替が原則禁止なので、金の流れに関するイノベーションは(それらを原則禁止としない他国より)起きにくい」ということ。これが立法者(「主権」を持つ私達自身を含めて)に伝えたかった観察で、それとは別に、起業家はどんな規制の下でも、可能なイノベーションは起こさなきゃいけない、そう思ってます。