2018年9月4日火曜日

消費税の理論に対する質問

消費税制度では、売り手である事業者が消費税額を価格に上乗せして商品を売って、税額分を納税したとき、税負担は買い手に転嫁され、売り手の負担はないとされている。

消費税がないときに100円だった商品を、8%の消費税の下で売り手が108円で売り、8円を消費税として納税したとき、手元には消費税がない場合と同じ100円が残るから、売り手の負担はない。買い手は消費税がないときよりも8円を多く支出したから8円が税負担である。そういう説明である。

では、次の2つの質問にどう答えられるだろうか。

1. 消費税がある場合において、取引の直前に、売り手は商品を所有し、買い手は108円の金銭を所有している。取引が行なわれ、売り手が納税した後では、売り手は100円の金銭を所有し、買い手は商品を所有している。商品の市場価格は108円であるから、買い手が即座に市場で商品を売ると(例えば同じ商品を欲しがっている他の消費者に売ると)108円の金銭を取り戻せる。しかし売り手の手元には100円しかないので、市場で同じ商品を買い戻せない。税による損失を被ったのは売り手のほうではないのか。

2. 消費税がすべての商品の価格に上乗せされたとき、物価指数は8%上昇する。消費税がないときに基準を置くと、消費税がない場合の売り手の所得は、名目所得で100円、実質所得で(名目所得/物価指数なので)100円であり、消費税がある場合の売り手の所得は、名目所得で100円、実質所得で(100/1.08≒)92.6円であり、実質所得は減っている。これは売り手の税負担ではないのか。

私ならこの↓本にあるように答えます。

『消費税を本当に負担しているのは誰か? 〜間接税の真の姿に迫る〜』(Amazon)