2013年12月26日木曜日

Brother カラーレーザープリンター HL-3170CDW

インクジェットのコスパの悪さにとうとう我慢できなくなったところで、良さそうなレーザープリンターを見つけたので買った。導入と印刷サンプル、使ってみての第一印象などを。


勤めてた頃はキヤノン、沖、富士ゼロックスのレーザーを使ってきて、家では EPSON のインクジェットを使ってきた。ブラザーは初めて。自営なので SOHO 向きのやつを選んでみた。

開梱。17.7kg あるので箱から出すのは二人がかりの方が腰を痛めなくていいけど、ひとりでもできないことはなかった。本体の開く部分を止めてあるテープをいくつか剥がす。そして4つのトナーを一度外して、運送用のプラスチックをそれぞれ外して、トナーを元に戻す。

これがプラスチックの残骸。横を開くようにして外した。


ネットワークのセットアップは簡単。うちは無線で LAN を構築している。プリンタ本体の液晶画面とボタンを使って SSID を選び、WPA パスワードを入力する。キーボードはないけど、ボタン長押しで文字の選択肢が変わる速度が速く、あまりストレスにならなかった。そしてすぐにつながった。つながると SSID などを記した紙が一枚印刷される。

コンピュータの方にドライバソフトをインストールする。ディスクがついてきたけど、うちは Mac OS X 10.9 で、ディスクを入れてインストーラを起動すると「対応してないのでサイトからダウンロードしてインストールせよ」というようなメッセージが出た。ブラザーのサイトのサポート>ソフトウェアダウンロード>レーザープリンター JUSTIO>カラーレーザー HL-3170CW あたりから入れればOK。

カラーの印刷品質を確認するために、写真を印刷してみた。これが元の写真。


これを iPhoto から「普通紙に写真をプリント」、品質は最高として印刷して、ScanSnap iX500 で解像度エクセレントでスキャンしたのがこれ。


(どちらも画像サイズは適当に変更してある。クリックで横1600ピクセルのオリジナル画像を表示)

印刷には縦筋(給排紙方向に対しては横筋)が見えるが、期待以上にきれいに印刷された。まあうちは写真の印刷は基本的にしないけど。

次に AirPrint を試す。うちのモバイルデバイスは iPhone 5 と iPad 2012、どちらも iOS 7 にしてある。Safari のメニューからプリントを選び、プリンタを選択しようとするが、検出に失敗する。(「AirPrintプリンタが見つかりません」と表示される)

プリンタ本体の AirPrint の設定を確認する。システム環境設定からプリンタとスキャナを選び、Brother HL-3170CDW を選んで「オプションとサプライ…」>「プリンタの Web ページを表示」をクリックするとウェブブラウザが開いてプリンタ本体にアクセスする。ネットワーク>プロトコル>AirPrint にデフォルトでチェックが入っているので、動いているはずだ。

ここでもう一度 iPhone からプリントを試すと、今度はプリンタが見えるようになった。そして印刷できた。

ところがしばらくしたらまたプリンタが見えなくなった。いろいろ試した結果:

  • 一度見えるようになるとしばらくは見えている
  • なぜか見えなくなるときがある
  • 見えなくなったときに、プリンタ本体にウェブアクセスしてネットワーク設定のあたりを開くとまた見えるようになる
  • それをしなくても、また見えるようになることもある
  • プリンタ本体がディープスリープ、スリープ、インサツデキマスのどの状態でも挙動に変わりがない
  • iPhone でも iPad でも変わらないので、プリンタ側の問題っぽい

というわけで、よくわからない(汗)

最後に置き場所。机の上に置くには大きいし(H465xW410xD240)、床に直置きでは埃で壊れそう。いいプリンタ台はないかと探したら、机の下に収納するものを見つけた。


W480xD400xH75でよさそうな大きさ。耐荷重35.5kgは十分。

キャスター4つを付属のスパナでねじ込むだけの組立て式。裏はこんな感じ。キャスターはそれぞれちゃんと回って向きが変わります。


スパナが薄く小さいのでちょっと使いにくかったけど、5〜10分でできた。


プリンタ17.7kg+プリンタ台3.6kg=21.3kgをキャスター4つ(接地面8つ)で支えている。まあ床に傷はつかないだろう。キャスターの大きさはこのくらい。


乗せてみました。ぴったり!



iPhone の広角レンズで撮ったから横に少し余裕があるのが分からないな。公称サイズ通りにこうなってます。


机の下に入れた。


これでしばらく使ってみます。AirPrint の件は今後の課題。



追記(同日):ファームウェアのバージョンが Main 1.13, Sub1 1.01 で、Main の方がひとつ古かった。ブラザーのサイトからダウンロードして Main 1.14 に更新したのでこれで様子を見ます。

追記(12/27):ファームウェア更新後も AirPrint で同じ症状が出ています。やはり今後の課題か。

(最終更新:2014/08/31)

2013年12月15日日曜日

メモ:Inkscape で OS X の(見かけ上)サイズゼロのフォントを使う

Mac の Inkscape は X11 のアプリケーションで、X から見えるフォントしか使えないようだ。自分の ~/Library/Fonts/ にあるフォントファイルで、UNIX 的ファイルサイズがゼロのもの(リソースフォークなるところに実際のデータが入っているもの)は X11 からは使えないみたい。これを Inkscape で使いたいと思った。

まず FontForge をインストールする。このとき GUI 付きで作る。Homebrew では「brew install fontforge --with-x」とする。その後、指示に従って「brew linkapps」とすると、/Applications/ に FontForge.app ができる。

X11 が動いている状態で、Finder で FontForge.app をダブルクリックして開く。そして目的のフォントファイルを指定して開く。

ファイル>フォントを出力... を選ぶ。保存形式として TrueType を選ぶ。ファイル名は適当に。そのままで多分大丈夫(すでにある名前でなければ)。保存する。何かいろいろ警告が出るが、とにかく保存する。(←これ、後で問題が出るかも知れない。どうすればいいかわからない。)

Font Book を開くと、フォントが重複しているはずなので、新しく入れた方を使用停止する。マウスポインタを上に置くか、右クリックして Finder に表示を選べば、どのフォントがどのファイルに対応するか分かる。右クリックから使用停止できる。

X11 を一度落とす。

X11 を立ち上げ(← Inkscape を起動すると同時に立ち上がる場合には不要)、Inkscape を立ち上げると、フォントが使えるようになっている。

2013年12月3日火曜日

メモ:com.apple.quarantine 拡張属性

調べきれてないけど回避策を見つけたのでメモ。

Mavericks に変えたせいか、今まで使ってたスクリプトが動かなくなった。こんな感じ:
$ cat hello
#!/bin/sh
echo hello
$ ./hello
-bash: ./hello: /bin/sh: bad interpreter: Operation not permitted
$
以下の場合にこれが起きるようだ。
  • 実行ファイルに com.apple.quarantine 拡張属性がついていて、その最初の値の下から3ビット目(0x4)がオンであるか、
  • そのファイルが内在するスパースバンドル(マウントされている)の *.sparsebundle/token に com.apple.quarantine 拡張属性がついていて、0x4がオンである
後者は、.dmg の場合は分からない。

確認法。ls -l@ でそのファイルを見て、「com.apple.quarantine 数字」という表示が出るかを見る。
$ ls -l@ hello
-rwxr-xr-x@ 1 mkazuto  staff  21 12  2 18:00 hello*
        com.apple.quarantine    27
quarantine-test-local$
「数字」(ここでは27)は拡張属性の大きさ(バイト数)。中身を見るには xattr -l する:
$ xattr -l hello
com.apple.quarantine: 0006;xxxxxxxx;アプリ名;
$
セミコロンでいくつかの情報が区切られている。最初の値は16進数のようで、この値の0x4がオンだと冒頭のエラーが出る。ここでは0x0006なので0x4がオンだからエラーになる。2つ目の値は16進数で何かのIDぽい。3つ目の文字列は、このファイルを(たぶん作成すると同時に)検疫隔離 (quarantine) したアプリケーションのようだ。エラーが出たときに /var/log/system.log を見ると、
Dec  3 10:10:09 rMBP kernel[0]: exec of /Users/mkazuto/hello denied since it was quarantined by アプリ名 and created without user consent, qtn-flags was 0x00000006
のようなメッセージが残っている。

対処法。xattr -d を使って com.apple.quarantine 拡張属性を取り除けば、一応動く。
$ xattr -d com.apple.quarantine hello
あとは0x4ビットだけを落とすという手もある。
$ xattr -w com.apple.quarantine '2;xxxxxxxx;アプリ名;' hello
スパースバンドルの token ファイルの拡張属性はマウント時に確認されるようだ。変更を有効にするにはマウントし直す必要がある。

いずれにせよ、この拡張属性の意味を正確には知らないので、これで大丈夫かは不明。Chrome や Safari を使ってネットから落としたファイルを見ると、0001とか0002とか0006とか0041とかいろんな値がついている。

実行ファイルに直接 com.apple.quarantine 拡張属性がついてる場合の情報はネットに多かったが、スパースバンドル内にある実行ファイルの実行可否がスパースバンドルの token ファイルの拡張属性に影響されると気づくのに時間がかかった。

2013年9月5日木曜日

子であることの平等、共同体の構成員であることの平等

婚外子の遺留分が嫡出子の半分という民法の規定が違憲との判決が最高裁で出たという件。

婚外子の相続差別は違憲 「確定事案に影響せず」 最高裁初判断 - MSN産経ニュース

今回のケースだけではなく、一般にその規定が不当な差別かを考えてみた。(判決文そのものはまだ読んでいない。それに左右されず、一般論として考えてみたいから。)

遺留分がそのように設定された目的は事実婚を防ぐためで、その効果は怪しい、という声が聞こえてくる。だが、そこがポイントじゃないように思う。遺留分は、子だけでなく、直系尊属にも規定されている。そもそも遺留分の目的が事実婚を防ぐためなら、直系尊属に遺留分をのこす必要はない。

死んだ人の財産は誰のものか。誰のものと民法は考えているか。

国のものじゃないよね。没収されないから。

すべて本人のものでもない。遺留分の規定があるから。

遺留分は、死んだ人の財産が誰のものかを意味しているととれる。死んだ人の財産は、直系尊属と子のものだ。その人が死ぬ前を考えると、その人の財産は、

  • 直系尊属と、
  • 死んだ本人と、
  • 配偶者と、
  • 子のもの。

これはひとつの共同体と考えられる。遺留分は、財産は本人だけのものでなく、共同体のものだよ、と民法は言っているように思える。遺族の生活の保障とか、誰がその財産に寄与したかとかと言われるみたいだけど、簡単に言えば共同体ということではないかな。ある財産を共有して(つまりそれに貢献し、逆に利用して)生活し、生活していく共同体。

とりあえずそういう共同体を仮定して、嫡出子がいる場合に、婚外子がその共同体に入っているかを考える。それは、生活の実体によって異なるだろう。だが日本の現状で、婚外子が共同体に入っていることが一般的かと言えば、そうではないと思う。少なくとも、嫡出子と同程度に共同体に貢献している状態が一般的かというと、そうは思えない。たとえば親が倒れたら嫡出子と婚外子は同程度に看病するだろうか。

嫡出子がいない場合で、婚外子だけがいる場合はどうか。死んだ本人をX、その事実婚の相手をYとする。

Yが(Xでない誰かと)法律婚をしている場合(A)は、婚外子は養子縁組によって嫡出子になれる。それを親とともに選択するかの問題になる。Yが法律婚をしていない場合(B)はさらに2通り(B1, B2)に分けられる。Xが(他の誰かと)法律婚をしている(B1)なら、Xの共同体に婚外子が属していることは稀のように思える。Xも法律婚をしていない(B2)なら、XとYは結婚できるので、これも選択の問題になる。以上からは、婚外子は (1) 嫡出子にできるのにしないという選択をあえてしている、そうでない場合には (2) Xの共同体に属していないことが多い、となる。

(ここには、婚外子の意志のみで親を結婚させたり養子縁組ができない、という問題があるが、それは後でまた。)

以上のように、日本の現状では、多くの場合において婚外子は死んだ本人の共同体に属していない、と言えるように思う。いや、もちろん例外はあろう。でも、多くの場合において、ね。法律はそういう場合を主に扱うべきだと思うから。例外は例外規定で扱おう。

そうだとすると、元々の民法の規定は、この感覚に合っている。つまり、直系尊属と死んだ本人と嫡出子から構成されるひとつの共同体を考え、嫡出子よりも比較的貢献度の低い婚外子を準構成員と考えて、死んだ本人の財産がその共同体のものだとする。

逆に考えてみよう。よく言われるのは、死んだ本人と共同で生活を営んでこなかった婚外子が、本人の死後に突然現れて、嫡出子と同じだけの遺産を要求するというケース。共同で生活を営んできた人にとって、これがおかしい、不公平だと感じるのは自然だ。

事実婚の別のバリエーションもある。X男がY女との間に婚外子Z子をもうけ、Y女が別のW男と事実婚状態で生活しZ子とともに暮らすことは、(Y女が事実婚を選択することから)ありそうだ。このZ子が、X男が死んだ時に遺産を(X男の嫡出子と同じように)相続できるのはおかしくないか。その遺産がY, W, Zの共同体に移されるのは正当か。ふたつの共同体に所属して恩恵を受けられるZ子を、X男の嫡出子は不公平だと思うんじゃないだろうか。

これらを考えると、今の日本で、ある人が死んだ時に、その直系尊属と配偶者と嫡出子を共同体の構成員と推定し(だから遺留分がある)、婚外子を一般に(少なくとも嫡出子と同程度に共同体に貢献する)構成員ではないと推定するのは妥当だと思うんだがどうだろう。

ならば、単に子だからと言って嫡出子と婚外子を同等と推定して扱うのは、逆に不適切な平等だということになる。

今回の違憲判決に対してツイッターでいろんな批判を見るが、このポイントに集約されるように見える。すなわち、普通、「家族」と呼ばれる共同体に属していない婚外子に対して、嫡出子と同じだけ財産を与える強行規定はおかしい、という点だ。それはつまり、かなりの割合の人が(意識せずとも)家族を共同体と考えていて、それへの関与の度合いで遺留分が決まる方が平等であると思っていることを示している。

場合によっては婚外子の方が共同体を構成していたり、あるいは事情があって養子縁組や親の結婚ができない場合もあるだろう。それは例外として救済されるべきであって、嫡出子と婚外子の平等という視点から解決しようとすべきではないのではないか。(そうやって解決しようとすると、上に述べた不公平、不適切な平等が生じ、それを防ぐ手段がない。)

以上が一般論。あとは今回の件で、これは判決を読んでから書くべきだろうけど、とりあえずいま思ってることを書いておく。

以上の不公平感は、私個人の感覚とは思えない。ある程度の割合の人が同様に考えると思う。それがどのくらいの割合か分からない。だが、こういうことこそ議論と多数決、つまり国会で決めるべき事柄ではないだろうか。

平等を判断する線が、一方は子(嫡出子・婚外子問わず)であるか否か、他方は共同体の構成員であるか否か。その違いだとすれば、どちらもそれぞれの意味で平等であって、後者のみを明らかに不平等とは呼べないはずだ。事実、今回違憲とされた民法の規定はそれまでは合憲だったと聞く。最高裁が勝手に状況を判断して、今はこっちが平等、とするのは、法律を解釈する権利を濫用していることにならないか。

ということを今のところ思っている。論理に穴があるのも承知だし、いろいろ見落しもあると思うが、とりあえず書いてみた。今後、時間があったら判決文を読んでまた考えてみたい。

2013年8月8日木曜日

音声が出た後で

前回(考える日常: 国文読解:麻生副総理の憲法改正めぐる発言)の後、講演の一部音声が出た(麻生副総理の「ナチス憲法」発言の音声)。文章を読んだ時とちょっとニュアンスが違うようだったので、答案を直してみる。
僕は今、(憲法改正案の発議要件の衆参)3分の2(議席)という話がよく出ていますが、ドイツはヒトラーは、民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って、ヒトラー出てきたんですよ。ヒトラーはいかにも軍事力で(政権を)とったように思われる。全然違いますよ。ヒトラーは、選挙で選ばれたんだから。ドイツ国民はヒトラーを選んだんですよ。間違わないでください。そして、彼はワイマール憲法という、当時ヨーロッパでもっとも進んだ憲法下にあって、ヒトラーが出てきた。常に、憲法はよくても、そういうことはありうるということですよ。
ここで彼は民主主義の危険性について言っている。
ここはよくよく頭に入れておかないといけないところであって、私どもは、憲法はきちんと改正すべきだとずっと言い続けていますが、その上で、どう運営していくかは、かかって皆さん方が投票する議員の行動であったり、その人たちがもっている見識であったり、矜持(きょうじ)であったり、そうしたものが最終的に決めていく。私どもは、周りに置かれている状況は、極めて厳しい状況になっていると認識していますから、それなりに予算で対応しておりますし、事実、若い人の意識は、今回の世論調査でも、20代、30代の方が、極めて前向き。一番足りないのは50代、60代。ここに一番多いけど。ここが一番問題なんです。私らから言ったら。なんとなくいい思いをした世代。バブルの時代でいい思いをした世代が、ところが、今の20代、30代は、バブルでいい思いなんて一つもしていないですから。記憶あるときから就職難。記憶のあるときから不況ですよ。この人たちの方が、よほどしゃべっていて現実的。50代、60代、一番頼りないと思う。しゃべっていて。おれたちの世代になると、戦前、戦後の不況を知っているから、結構しゃべる。しかし、そうじゃない。しつこく言いますけど、そういった意味で、憲法改正は静かに、みんなでもう一度考えてください。どこが問題なのか。きちっと、書いて、おれたちは(自民党憲法改正草案を)作ったよ。べちゃべちゃ、べちゃべちゃ、いろんな意見を何十時間もかけて、作り上げた。そういった思いが、我々にある。そのときに喧々諤々(けんけんがくがく)、やりあった。30人いようと、40人いようと、極めて静かに対応してきた。自民党の部会で怒鳴りあいもなく。『ちょっと待ってください、違うんじゃないですか』と言うと、『そうか』と。偉い人が『ちょっと待て』と。『しかし、君ね』と、偉かったというべきか、元大臣が、30代の若い当選2回ぐらいの若い国会議員に、『そうか、そういう考え方もあるんだな』ということを聞けるところが、自民党のすごいところだなと。何回か参加してそう思いました。
静かに、怒鳴り合いなく、正論を言って、ということなので、「喧々諤々」ではなく「侃々諤々」だったのだろう。
ぜひ、そういう中で作られた。ぜひ、今回の憲法の話も、私どもは狂騒の中、わーっとなったときの中でやってほしくない。靖国神社の話にしても、静かに参拝すべきなんですよ。騒ぎにするのがおかしいんだって。静かに、お国のために命を投げ出してくれた人に対して、敬意と感謝の念を払わない方がおかしい。静かに、きちっとお参りすればいい。何も、戦争に負けた日だけ行くことはない。いろんな日がある。大祭の日だってある。8月15日だけに限っていくから、また話が込み入る。日露戦争に勝った日でも行けって。といったおかげで、えらい物議をかもしたこともありますが。僕は4月28日、昭和27年、その日から、今日は日本が独立した日だからと、靖国神社に連れて行かれた。それが、初めて靖国神社に参拝した記憶です。それから今日まで、毎年1回、必ず行っていますが、わーわー騒ぎになったのは、いつからですか。昔は静かに行っておられました。各総理も行っておられた。いつから騒ぎにした。マスコミですよ。いつのときからか、騒ぎになった。騒がれたら、中国も騒がざるをえない。韓国も騒ぎますよ。だから、静かにやろうやと。
「侃々諤々と静かに議論する 」ことと、「騒ぎになる」ことを対置している。
憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。わーわー騒がないで。
マスコミが騒ぐから、マスコミに気づかせないように、我々もわーわー騒がないで、ナチスの手口を学んでやったらどうか、というブラックジョーク。
本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。
ここで、また民主主義の危険性の話に頭が戻った。民主主義でも、みんなが納得しても、悪い法はできる。
ぜひ、そういった意味で、僕は民主主義を否定するつもりはまったくありませんが、
 直前で民主主義を否定しそうなことを言ったので、それの補足。
しかし、私どもは重ねて言いますが、喧噪(けんそう)のなかで決めてほしくない。
…という流れのよう。

ネットで他の解釈を見ると、多くが(例えば↓)

麻生「ナチス」発言の解釈をめぐる、解釈者らの国語力の問題 - Togetter

「静かな例」と「騒いだ例」の2つのはずで、静かな例としてナチスを引いたのだから、ナチスのやり方をしようとしているんだ、としているみたい。

私はそれは違うと読んだ。麻生さんは A. 十分に議論せず(上っ面の納得をさせるだけで)こっそり変える(これがナチス)、B. 侃々諤々と静かに深く議論する(麻生提案)、C. マスコミが騒ぎ国民が騒いで変える、の3つを念頭に置いていたように見える。「こっそり」「静かに、よく考える」「騒ぐ」のどれも出てくる。そしてナチスを冒頭で否定していて、騒ぐなと言ってるんだから、Bを主張している。

二項対立にするには「もう一度よく考えて」=「こっそり」と取らなきゃいけないので、そりゃ曲解だろと思うんだが。ブラックジョークを解さないというのは置いといても…

以上、ブラックジョークの適切さと、このような発言をする政治家としての資質は別として。今まで読んだ中ではこれ↓が一番まっとうな対応かな。

小田嶋 隆:麻生さんの「真意」のゆくえ | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉:日経BPオールジャンルまとめ読みサイト

2013年8月1日木曜日

国文読解:麻生副総理の憲法改正めぐる発言

麻生さんの発言、一貫して意味を取れるように超訳(笑)してみた。

ソース:朝日新聞デジタル:麻生副総理の憲法改正めぐる発言の詳細 - 政治
キャッシュ:(cache) 朝日新聞デジタル:麻生副総理の憲法改正めぐる発言の詳細 - 政治
しつこく言いますけど、そういった意味で、憲法改正は静かに、みんなでもう一度考えてください。
ぜひ、今回の憲法の話も、私どもは狂騒の中、わーっとなったときの中でやってほしくない。
憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。わーわー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。ぜひ、そういった意味で、僕は民主主義を否定するつもりはまったくありませんが、しかし、私どもは重ねて言いますが、喧噪(けんそう)のなかで決めてほしくない。
読解のポイントは、なぜ最後に「民主主義を否定するつもりはまったくありませんが」とわざわざ言ってるか。なお、麻生語では、「ぜひ」と、「そういった意味で」は無意味なことに注意。以下、私の答案。
憲法改正は静かに、みんなでもう一度考えて下さい。 
我々は狂騒の中、わーっとなった時の中でやってほしくない。
そういうことをすると、ナチス憲法みたいにとんでもない憲法を作ってしまう(*1)恐れがある。民主主義ってのはそういう危なっかしいものなんだ。みんないい憲法だと納得して、あの憲法は変わっているからね。もし皆さんがそういうろくでもない憲法を作りたいんだったら、誰にも気づかれないように憲法を改悪したナチスの手口を学んだらどうかね。わーわー騒いで気づかせるより、その方が賢いよ。
もちろん今のは皮肉で、ぼくは民主主義を否定するつもりはないけれど、ともかく、我々は重ねて言うけれど、喧騒の中で決めてほしくない。
(*1) 正しくは、全権委任法を成立させたこと、らしい。

静かにやっても民主主義ではああいうことが起きる、増してや狂騒の中で作ったらどうなるんだ、ということを皮肉で伝えたかったんだろう、というのが私の解答。どうでしょうか。

表情や口調のニュアンスが失われているから、レベル高い国文読解になってしまっていて、正解は麻生さんしか知らないけれど、その場にいて意味が取れないなら少なくともジャーナリストとしては落第じゃなかろうか。てか質疑の時間に質せなかったのかな。

2013年6月9日日曜日

FreeMind のアップデート

FreeMind で昔(0.8時代)作ったファイルを0.9.0で開こうとしたら

Error while parsing file:freemind.main.XMLParseException: XML Parse Exception during parsing of a map element at line 1: Expected: =

とエラーが出て開けなかった。(OS X 10.8.3)

でも unstable な1.0.0RC4を使ったら無事開くことができた。よかった。

長期保存の必要がありそうな書類はフォーマットを考えて選択しないとな。ソフトのバージョンが上がるたびに、それまでの書類をいちいち変換するわけにはいかない。

そう言えば職場で、以前に文豪(ワープロ)で作った書類が開けなくて大変に困ったことがあったっけ。

表計算ソフトのファイルは、CSVをいつも書き出しといた方がいいのかも。そう考えると、ワープロでは LaTeX が最強か。

2013年5月22日水曜日

Mac で Jenkins の文字化け

OS X (10.8.3) で Jenkins (1.515) をターミナルから普通に
$ java -jar jenkins.war
で動かしたら、ブラウザ (Chrome) で見るコンソール出力の一部で日本語(UTF-8 で出力したはずのもの)が文字化けした。
$ java -Dfile.encoding=UTF-8 -jar jenkins.war
で起動するといいようだ。

というメモ。

2013年5月14日火曜日

DVD プレーヤからディスクを取り出した

ソニーの DVP-S501D という十数年前の DVD プレーヤの電源が入らなくなり、ディスクが入ったままになってしまった。手でトレーを引き出せないし、よくある小さな穴(ピンを入れるとトレーが出てくる)もない。

本体をひっくり返してみたら、トレーの下のところに何やら穴があって、


奥にネジがある。


これをプラスドライバーで左に少し回すと、トレーが少し出てきた。それを指で引っ張って、無事ディスクを救出できた。(写真では本体を逆さにしてあるけど、救出時には上下正しく置いて下からドライバーで回した。そうじゃないとディスクが引っ掛かるか落ちる。)

なお、今回は本体は壊れたものとして諦めて、ディスク救出を優先したので、このやり方が本体にどんな影響を与えるかは知りません。正しくないかもしれない。やる場合は自己責任で。あるいはソニーに電話して訊くと教えてくれるかも(くれないかも)。

2013年5月13日月曜日

もうひとつの英語勉強法 (2):アメリカ発音を選ぶかイギリス発音を選ぶか


[前回:もうひとつの英語勉強法 (1):会話ができるためには何から学ぶ?

遊びに来てくれた卒業生に、英語の勉強法を教えてくれと言われたので、本でも書くかと思ったんだけど、このブログに少しだけ書いて続きを書いてなかったのを思い出した。というわけで、ここに書くことにするよ。

前回みたいにきっちり書くと大変で続かない気がするから、もっと気楽に行こうと思う。「勉強法」というより、勉強のコツを挙げる感じになりそう。タイトルがいまいちになってしまった。まあいいや。

さて本題。

どの発音を選ぶか


前回、発音の練習をしよう、と書きました。でも英語の発音は国によって違う。例えばアメリカ発音やイギリス発音など。どれを練習すればいいんだろうか。

もし特定の発音を選ぶ特別な理由がないのなら、私は「癖のないアメリカ発音」を基準にすることをお勧めします。(特別な理由とは、ある地域に住むことが決まってるとか、俳優になるなど。)

一番の理由は、勉強のための材料が手に入りやすいこと。経験上、日本にいて触れる英語はアメリカ発音が多い。テレビや映画、英語教材など。イギリス発音のものは、あってもやはりアメリカのより少ない。

「癖のない」は難しいけど、教材と銘打ってあるものや、辞書にアメリカ英語として収録されている音声は、だいたい癖のない標準的な発音になっているはず。ニュースキャスターの発音も標準的でしょう。映画やドラマは俳優さんによります。

もしも回りにイギリスやオーストラリア、カナダなどの標準的な英語の材料(あるいは友人など)があるなら、そちらを選んでもいいと思います。

自分がアメリカ発音で練習して、相手がイギリス発音だったときに聴こえるだろうか、という不安があると思いますが、意外と大丈夫です。アメリカ発音をひと通りマスターすれば、あとは慣れればイギリス発音も結構聴こえるようになります。

伝わる発音、伝わらない発音


イギリス人がアメリカ人に話すと、発音が違うのにちゃんと通じて、英語のうまくない日本人がアメリカ人に話すと、発音が違うために通じない、この差は何なのでしょう。

私が思うに、イギリス人は英語の個々の音を発音し分けていて、それぞれの音はアメリカ発音とは少し違うけれど、聴いたアメリカ人がリアルタイムで頭の中で自分の知っている単語に直せるくらいのずれなのではないか。これに対して、日本人は音を発音し分けない(例えば L と R)ので、聴いた方が自分の知っている単語に直せないのでは。

私自身、非ネイティブの英語を聴くときにこういう修正をやることがあります。フランス人が「アーシテクチュール」と言うのを頭の中で architecture に直したり。でも日本人の「ロー」を、low, law, row, raw あたりに直すのは大変。文脈で分かるならいいんだけど。

というわけで、私が思う「伝わる発音」とは、

  • 英語の音のバリエーションが発音し分けられている
  • それぞれの音が、標準的な音からそれほど離れていない
  • 一貫している(同じ音が常に同じように発音される)

というものです。要は、区別されてて、それっぽくて、ぶれなければいいのです。

ああ、ここで言ってる「発音」は、個々の音の話で、他に強弱(抑揚)の問題とかもあります。でもまずは個々の音が基本でしょう。

私の場合


私が本気で英語をやり始めたきっかけは、大学での LL の授業でした。細かい発音から教えてくれたその授業で扱っていたのが(いま思うと)アメリカ発音でした。アメリカからの留学生がそばにいたこともあり、その頃はアメリカ発音に似せようと努力したものです。

そこそこしゃべれるようになった後、オーストラリア英語を話す友達ができたり、アメリカに行ったり、イギリス系の友達とよく話すようになったりしました。英語での学会発表もしょっちゅうして、いろいろな国の人と話しました。

そんなことをしているうちに、アメリカ発音を苦労してやっているのが無駄に思えてきました。ただでさえ英語の発音は口や舌が疲れるのに、アメリカ発音に似せるのはさらに苦労する。そんな発音しなくたって通じるのです。イタリア人、ドイツ人、ベルギー人、日本人で英語で話すときには、誰も英語ネイティブな発音なんてしません。

そこで今は、通じるできるだけ楽な発音をするようにしています。アメリカ発音とイギリス発音と日本発音を足して3で割ったような。でも音は発音し分けているので、完全に通じますよ。自分では自信を持って「Japanese accent だ」と言ってます。

だから実は、もしかしたら日本人が英語をうまく(ネイティブみたいに、ではなく、通じるように)話せるようになるには、ネイティブよりも日本人(でうまく話せる人)に習う方がいいんじゃないか、とも思ったりします。

大事なこと


発音の練習で大事なのは、真似ることを恥ずかしがらないことだと思います。最初はうまくできません。練習してうまくなるものです。うまくなるまで発音しなければ、いつまでもうまくならない。まあ何でもそうですね。

どうせどんなに練習したってネイティブの発音はできない、と最初から開き直った方がいいと思います。英語を話す目的は、気持ちや考えを伝えることなんだから、伝わりゃいいんですよ。

リンク


The Free Dictionary この辞書サイトはアメリカ発音とイギリス発音の両方が聴けます。

2013年4月21日日曜日

heroku db:push は deprecated

heroku db:push すると「Taps Server Error: PGError: ERROR:  time zone displacement out of range: "2011-10-22 12:00:00.000000+5894056800"」などというエラーになって、ネットで調べると Ruby のバージョンを Heroku に合わせて 1.9.2 にすればいいという情報がいっぱいあるんだが、rbenv で 1.9.2-p320 に下げても同じエラーが出てしまう。

もちょっと調べたら、そもそも db:push 自体が deprecated だったようだ。


というわけで、PG Backups を使うのが正解らしい。


2013年3月24日日曜日

アウトバックに J-Force JF-BTFM2K

うちのアウトバックは2005年5月購入(マイナーチェンジ直前)。センターコンソールのシガーソケットのそばに蓋があるので、この形状じゃ挿さらないかなぁと思いつつ購入した。



結果、挿さったけどぎりぎり。押し込んだら頭部がうまく傾いて、奥の端子に何とか接触した。一応使えそうだ。USB ケーブルは問題なく繋げた。


グローブボックスにある電源取り用のシガーソケットには余裕で挿さった。グローブボックスの蓋と本体の間には USB ケーブルが通るくらいのちょうどいい隙間があって、ケーブルも引き出せた。


レビューを見ると、LED が明るくて目障りだという話もあるので、グローブボックスに収めとくのもいいのかな。周波数を変えるのはちょっと面倒だけど。

どっちに挿した時でも、少し動かすと電源が切れる(シガーソケットなのでしょうがない)けど、すぐに再ペアリングしてくれて再生も再開した。便利だ。

以上、同時期のレガシィ/アウトバックで JF-BTFM2K の購入を検討している人のために。

2013年2月27日水曜日

初めての青色申告

初めての青色申告に行ってきました。相談会場で税理士さんに詳しく見てもらったら、「これは模範になるような帳簿ですね」というお言葉をいただきました (^v^)

営業所得で青色が初めてだっただけでなく、退職所得あり、給与所得あり、雑所得あり、配当所得あり、寄付金控除あり、加えて国民年金も健康保険(任意継続)も自分で申告という、なんだか派手でとてもややこしい申告でした。退職所得を申告するために、確定申告書の第三表を使ったのも初めて。よく乗り切ったと自分を褒めてやりたい。うん。

提出する資料の他に、念のため仕訳日記帳と総勘定元帳を印刷して持っていったら、詳しく見てもらえたし、質問もしやすかった。

帳簿つけと決算には「やよいの青色申告」を使いました。決算書が提出の書式で印刷できるので楽ちん。ただ、確定申告書Bの自動計算のサポートは、国税庁の確定申告書作成コーナーの方がいいみたい。両方でやってみたけど、やよいでは第三表を作るのが大変だった。結局、決算書を「やよいの青色申告」で印刷して、確定申告書Bは国税庁のサイトで作りました。(第三表が不要ならやよいだけで簡単にいけそうな感じ。)



こういうソフトがあると帳簿つけと決算は楽だけど、ソフトさえあれば問題なくできるかって言うとそうでもない。やっぱり、ある程度ちゃんとした簿記の知識と、実務的な知識が必要だったなぁと感じています。何冊か読んだ中からおすすめの本を紹介すると:



この本↑の一つ前の版を読みました。内容はさほど変わらないだろうということで新版へのリンクでご紹介。教科書的な本です。簿記の原理から、具体的な手続き、そして決算まで説明してくれています。決算手続きの理解にはとても助かりました。



図が多い大判の本↑。絵が多いぶん内容が薄いかと思ったら、簡潔にまとまっていて意外と役に立ちました。そして分かりやすかった。



実務系で一冊だけならばこれかな↑。よくまとまっていて分かりやすい。 巻末の必要経費勘定科目の早見表(五十音順)が実例としてとても助かりました。



ちょっとこれ一冊では足りないかなって感じだけど、やさしくて丁寧に書かれている本↑。最初の入門にはよさそう。

今回の確定申告の時期が過ぎればまたこの手の本は新しくなるでしょうが、まあご参考まで。

これらの本を基本に、細かいところが分からなければネットで情報を探す、で乗り切れた1年でした。

あと、税理士さんには、今度からこう帳簿つけたらいいなどの助言もいただきました。ありがたいことです。無料相談、使わない手はありませんね。

2013年2月18日月曜日

フレームワークを理解しようとしてはいけない

久しぶりに自分で iPhone アプリを作ってみた。簡単な機能を持ったものを3日かけて作った。いや、作ってたら3日でできた。意外と早かった。

そこで感じたのは、フレームワークそのものを理解する必要はないってこと。少なくとも、普通のプログラマは。

というかむしろ、フレームワークそのものを理解するのに労力をかけるのは、プログラマとしての生産性を下げるからよくないとさえ言いたい。

フレームワークを熟知するのは、フレームワークの開発者と、それを解説する人だけでいい。プログラマは、そういう人達が書いたサンプルコードから機能を理解し、それを手直しして自分のコードにすればいいのだ。

これはずっと学校で教えてきた自分のスタンスを崩すものだけど、現状では真実だと思うので仕方がない。

学校では、少なくとも私は、言語の文法とフレームワークはできれば熟知するもので、その上で作りたいものをつくるべき、と考えていた。カリキュラムもだいたいそのように組んできた。仕組みは分からなくていいから動くものを作れ、という方針の授業もやっていたけど、あくまで入門向けのやり方としてだった。

だから、学生が授業の課題や卒業研究のためのプログラムを、どこかから見つけてきたようなコードを手直しして作ろうとし、どうも動かないと言っている様を少々苦々しく見ていた。

でも現状ではそれしか手がないんだな。フレームワークは巨大になりすぎた。全体を把握するなんて一介のプログラマには困難。インタフェース通りに動くとも限らないし。それに、日々どんどん変わったりする。覚えたって無駄になりかねない。

ここは前向きに諦めよう。フレームワークを理解しようとしてはいけない。サンプルコードがあれば十分だ。より創造的な作業のために時間を使おう。

2013年2月15日金曜日

メモ:パブーの PDF メールアドレス埋込み

パブーにアップロードした自作 PDF が読者によってダウンロードできないとか、サイズが巨大になるとかいう問題があった。メールアドレス埋込み設定をしなければ大丈夫らしい。その原因、というか回避策が見つかったので書いておく。

特定の PDF 形式だとダメらしい。dvipdfmx で生成したもので問題が出ていた。その PDF ファイルを、一度 OS X のプレビューで開き、別名で保存すると、内容は(多分)一緒だが形式が変わる。その形式だとパブーに登録しても問題なくダウンロードできる。

つまり、dvipdfmx の出す PDF ではダメで、プレビューの出す PDF なら大丈夫。多分、Acrobat とかでも大丈夫なんだろう。

2013年2月14日木曜日

メモ:alltt 環境と \Underline の相性

pTeX で alltt.sty と jumoline.sty を使って
\begin{alltt}
\Underline{Hello, world!}
\end{alltt}
とかしたら、コンマが
! Improper alphabetic or KANJI constant.
というエラーになった。これを
\begin{alltt}
\Underline{Hello{,} world!}
\end{alltt}
としたら(なぜか)回避できたっぽい。

2013年1月28日月曜日

電子マネーはトマト以下

久しぶりに電子決済について書いてみる。

電子マネーの流動性

電子マネーは、流動性が極端に低く抑えられている。

資金決済法第二十条2に、電子マネーは払戻しをしてはいけないとある。一度買ったらお金に戻せない(売れない)のだ。

これはものすごい規制。およそ自分の持っているもので、売ることができないものなんてほとんどない。臓器とか売春とか猥褻物や偽造通貨…とても悪いものばかりしか思いつかない。

つまり流動性について、電子マネーは、トマトにすら劣るってことだ。(別にトマトと比べる必要はないが)

通貨 > 貴金属 > パチンコの換金用の景品 >> トマト >>>越えられない壁>>> 電子マネー

これが電子「通貨」とか、笑っちゃうね。

なんでこんな規制ができたのか。ちゃんとした経緯を知らないけど、よく問題だと聞くのは、クレジットカードからお金を引き出す手段になる(電子マネーをクレジットカードで買ってそれを現金で払い戻す)こと。あと、RMT に使われやすいとかもあるのかな。まあ、クレジットカードからの現金化は、利用条件で定めて、クレジットカードで買った分は払い戻さないようにシステムを実装すればいいだけなので、あまり理由になる気はしない。

で、実は違う理由だろうなと推測している。あくまで推測。

電子マネーで払戻しができると、電子マネーの流動性が、銀行決済やクレジットカード決済を上回る可能性が高い(と私は見ている)。つまり、

電子マネー > 銀行決済やクレジットカード決済 > 現金 > 貴金属 > …

となってしまう恐れがある。これは、銀行やクレジットカード会社にとっては許しがたい。どんな理由をつけてでも、電子マネーの流動性を抑えたかっただろう。

もうひとつは政府。というか財務省なのかな。財務省はきっと、銀行やクレジットカード会社をコントロールし、日本の経済を動かしている(動かしたい)、と思ってるはず。だから、さらに流動性が高く経済に影響を与える可能性があって、今のところコントロールの手段が見つからない電子マネーの出現を嫌がったのでは。

今のところ、それはうまくいっているようだ。Suica や Edy、ウェブマネーや BitCash が、いくら便利なことがあると言っても、それは限られた場面。日常生活での決済の多くは、依然として銀行、クレジットカード、現金だ。

電子マネーは自分の財産?

自分の財産は自分の所有物なので、原則として好きに売ったりすることができる。基本的人権の財産権(所有権)だ。

電子マネーは自分の財産か。法律で一所懸命に保護してくれているところを見ると、そう扱ってもらっているようだ。が、自由に処分することは禁止されている。

何を守ろうとして? 他者の同じくらい重い権利を守ろうとして(=公共の福祉)、ではなさそうだ。

電子マネーの将来

この一方向関門(現実通貨→電子マネー)が維持されたまま電子マネー側の経済が大きくなるためには、現実通貨の機能がそっくり向こう側にもなくてはいけない。例えば、電子マネーを預かる銀行とか。そうやって経済が成長するには、ものすごい時間がかかるだろう。(それよりも、電子マネーを預かる銀行が現れた瞬間、法律で規制されるほうに私は賭けるが。)

それでいいのかな。たしかにそうすれば、銀行やクレジットカード会社の利権は守られるし、政府は楽ができる。でも、電子マネーに本来あるはずの極めて高い流動性を生かしたマイクロペイメントの市場(主としてコンテンツ市場だと思う)は発展しないと思う。

日本でそのように規制すれば、このネット時代、市場を外国に取られるのは火を見るより明らかだと思うんだが。

軽くて場所を取らず、速く移動できるものが通貨の地位を置き換えてきたことを思うに、国家の通貨(のひとつ)が早晩電子通貨になるのは必定だろう。おかしな足掻きはやめて、ちゃんと将来を考えたほうがいいんじゃないだろうか。

2013年1月20日日曜日

Kindle ストアにもきました

パブーの外部ストア連携機能を使ってアマゾン Kindle ストアにも置いてもらいました。



ランキングをちょっと見てたけど、そこそこ買ってくれている人がいるみたい。ありがたいことです。

パブーのほうはこちら → 「わかる Git」

2013年1月15日火曜日

「サルでもわかるGit入門」がわからないヒトのために

サルでもわかるGit入門」が人気のようです。ツイッターで見ていると、よさそうと言う人とやっぱり分からないという人がいる。私も見てみたが、うん、分からないかもな、と思うところがあった。

そこで、横から失礼ながら、入門編だけちょっと注釈をつけさせてもらうことにします。わからないヒトのお役に立てれば。

履歴を管理するリポジトリ
リポジトリとは、ファイルやディレクトリの状態を記録する場所です。保存された状態は、内容の変更履歴として格納されています。
Git ではひとつのディレクトリ(とそれ以下。あとで出てくるワークツリーのこと。)を管理下に置きます。そのディレクトリの内容のスナップショットがひとつの「状態」としてリポジトリに記録される。その「状態」のつらなりが履歴です。

変更を記録するコミット
コミットを実行すると、リポジトリの内では、前回コミットした時の状態から現在の状態までの差分を記録したコミット(またはリビジョン)と呼ばれるものが作成されます
これは Git の説明としては標準的でないかな…Git ではコミットは差分ではなく、そのときのインデックス(≒ワークツリー)の内容そのもの。コミットを実行する時点でのインデックスの内容が、ひとつのコミットとしてリポジトリに入り、それが(上で書いた)「ひとつの記録された状態」になります。(*1)

(コミットを差分だと理解すると、後で出てくるマージやチェリーピックは分かりやすいんだけど、Git の実装とは離れているので、インデックスやコミットそのものが具体的にイメージしにくくなるのが難しいところ。)

(*1) Git の開発責任者の濱野純氏の著書「入門 Git」2.1節〜2.2節に詳しい。コミットと差分の関係は、p14に以下のように説明されています:
コミットオブジェクトが記録しているツリーオブジェクトは、プロジェクトのコミット時点での状態ですが、このツリーと、1つ前の状態を記録したコミットオブジェクトが記録しているツリーとの間の差分は、このコミットが導入した変更である、と考えることができます。[中略]この差分を計算して、変更点を調査することが可能となるのです。
ワークツリーとインデックス
Gitでは、コミットを実行した時にワークツリーから直接リポジトリ内に状態を記録するのでなく、その間に設けられているインデックスの設定された状態を記録するようになっています。そのため、コミットでファイルの状態を記録するためには、まずインデックスにファイルを登録する必要があります。
「インデックスの設定された状態」ではなく、「インデックス設定された状態」かな。誤植なら直してほしい…

インデックスには、ワークツリーそのままが入れられると思ったほうが分かりやすい。てか Git では実際そうなってる。そしてインデックスの内容が、そのままコミットになる。だから、ファイルを修正しても、インデックスに入れなければ、コミットには入らない。

ファイルやディレクトリが「Git の管理下にある」とは、インデックスに入ってるという意味です。図では CSS ファイルがインデックスに入ってませんが、この例なら入ってるでしょう。そして、html ファイルを修正したからインデックスに入れた、css ファイルは修正していないので以前の状態の css ファイルがインデックスにある、それがコミットされる。

(コミットが差分であると考えるなら、こう理解するといいかも:コミットすると、直前のコミットが表わす状態と、現在のインデックスの内容との差分が、新たにコミットとしてリポジトリに入る。)

以降、リポジトリの共有は概念的な説明なので分かりやすいと思います。変更履歴の統合のところは、ブランチを説明してからじゃないと説明が難しいところをうまく説明しているなぁと感心しました。

これでもまだどうも分からんという人には、拙著「わかる Git」を読んでいただきたいと宣伝するなど (^^;;。有料で、「サルでもわかる Git 入門」よりは長いし、かわいいイラストもないけれど、分かるように丁寧に噛みくだいて説明しているつもりです。上の説明のあたりは試し読みもできますので、気に入ったら是非。