2012年2月23日木曜日

もうひとつの英語勉強法 (1):会話ができるためには何から学ぶ?

ちょっと反響があったので、私が自分で実施してきて、うちの学生にも実施した、私流の英語勉強法を書いて行きたいと思います。勉強法とは言っても「コツの集まり」くらいのものです。効果は自分と学生で実証済みと思ってますが、保証はしません(笑)

今回は、日本での普通の英語学習になぜか決定的に欠けていて、でもそれが英会話がうまくできるためにとても大事だという項目について書きます。

なぜ英語が聞こえない?


ホームステイを長くやったのに英語がうまくならなかったなどという話を聞きませんか。私はアメリカに研究員で行ったとき、そこの大学(かなりレベル高いところです)にいる日本人学生や研究者の、特に聴き取りの力が平均してかなり低いことにびっくりしました。何年もアメリカにいる人でもそうなのです。

これは、単に量をこなしただけでは聴き取り力が上がらないことを示しています。

ちょっと日本語のことを考えてみましょう。あなたが誰かと話していて、その相手が例えば「ほぴめる」と言ったとする。そんな言葉はないけど、あなたは相手が「ほぴめる」って言ったことは分かります。なぜか。それは、あなたが hopimeru、母音と子音では h, o, p, i, m, e, r, u の全ての音を知っているからです。

では英語はどうか。あなたは、相手が(発音記号で書いたとき)「miθ」と言ったとき、それが m, i, θという音だと分かるでしょうか。

これは、聴き取りにおいて根本的だと思います。耳で聴いて「miθ」だと分からなければ、もしも myth という語を知ってても、それと分からないんだから、会話をしようとしても無理。これはまるで、将棋の駒の動きを知らないのに将棋で勝とうとするようなものです。

なのに、日本の学校英語教育や、普通の英会話学校では、この根本的なところをほとんど教えていないように思います。経験上、ほとんどの学生は、英語の音が聞き分けられません。

じゃあどうする?


英語が聞こえる前提条件は、英語を構成するすべての音が聞き分けられることです。

いやいや待てと。聴いても聞こえず、量をこなしてもダメならどうするんだ。英語耳はX歳までとも言うし…

そこで私が勧めるのは、まずは英語の音を作れるように発音の練習をすることです。単語ではなく、個々の音(母音や子音)の作り方を知り、それを練習します。

具体的には以下のようになります。
  1. 正しい音を聴く。
  2. 音の出し方を学ぶ。口の形、舌の位置、息の使い方などを教わる。
  3. 正しい音に近い音が作れるように練習する。
音をただ聴いて聞き分けるのは(それこそ「英語耳」が必要なので)難しいけど、このやり方の2番の音の出し方は感覚ではなく理屈なので大人でもできる。ここがポイントです。

学生に教えるときは、私が発音して(1番)、音の出し方を黒板とかで説明し(2番)、発音させて軽くチェックします。あとは学生にお任せ(3番)です。このやり方で20分くらい教えると、例えば単独のL音とR音なら8割くらいの学生が聞き分けられるようになります。

英語耳はX歳まで?


英語ネイティブから習ってる小さい子供が、やたらとネイティブっぽい発音を習得してるの見るとむかつきますよね(笑)。でも私は「英語耳はX歳まで」ってのを信じてません。大人でもやり方次第で英語は聞こえるようになる。そう思ってます。私が証拠だし、私が教えてできるようになった学生たちが証拠です。

小さい子供は音に慣れるのが早い。大人は日本語の音に長く慣れているので、新しい音に慣れるのは当然時間がかかる。でも、それだけだと思います。慣れる対象としての音と口の動きが分かってしまえば、あとは慣れるだけ。

どうせ英語をやらなきゃいけないんだったら、「英語耳はX歳まで」などという「できない理由」はどうでもいいですよね。必要なのは「できるやり方」なんですから。